
「新築と中古住宅、どっちがいいの?」というご質問をいただきました。
私なりの考えを書いてみたいと思います。
新築でしか出せない性能がある
まず、新築の最大のメリット。それはやはり「性能」です。 特に耐震性については、新築でしか出せないレベルがあります。「耐震等級3」といって、熊本地震で震度7で2回連続で揺らされてもその後そのまま住めているという実績がある性能です。
正直に言ってしまうと、中古住宅をリフォームしてこのレベルまで持っていくのは、ほぼ不可能です。技術的にやろうと思えばできますが、新築を建てるよりお金がかかってしまうでしょう。
というのも、一般的に耐震補強というと「壁」の補強がメインです。でも、壁だけ強くなっても、その下の「基礎」が弱ければ、最強クラスの地震には耐えきれません。耐震等級3と同等を目指すのであれば、基礎にも補強を考えねば、、、となるのですが、それには家を骨組みだけの状態(スケルトン)にして、さらに基礎をいじる必要があります。しかも、古い基礎コンクリート自体の強度がどうなのか?という問題もあり、弱いものの上に強いものを継ぎ足しても…となかなか悩ましいのが現実です。
なので、「根本的な強さ」を求めるなら、私は新築に軍配が上がると考えています。
古い家は、壁の補強をして、最低限である現在の建築基準法の「震度6強で揺らされると、「く」の字に折れ曲がってもう二度と住めないけれど、ぺちゃんこになって倒壊した家によって生命が失われることが無い。」というレベルでとどめておくのが、費用対効果としても現実的かなと思います。
逆に言うと、日本にはそのレベルすら満たしていない家が山ほどあるという事です。
「断熱」や「気密」についても同じことが言えます。 古い家にいくら断熱材を入れても、隙間をなくす「気密」をしっかり取るには、やはり骨組みだけにして一からやり直さないといけません。
でも、そこまでやってしまうと、リノベーションの良さである「建物の面影」や「味わい」といったものが全部なくなってしまいます。新築と同等か、新築よりお金をかけて、結果として出来上がるのは、間取りの自由が利かない、「新築っぽい家」でしかありません。
中古住宅は性能に目をつぶって、味わいを取る
中古住宅を買ったり、今住んでいる家を直したりする時は、性能については「ある程度の妥協」が必要なんじゃないかな、と私は思います。
その代わり、その家が持っている独特の味わいですとか、刻まれてきた思い出を残すことができます。そして何より、費用的にも無理がなく、無駄になりません。
もちろん、しっかりした性能の家で、安心して快適に住まうのも素晴らしいことです。
一方で、家の性能には多少目をつぶって、「寒ければ暖房をガンガン焚けばいい」「上着を一枚多く着ればいい」と割り切るのも、一つの賢い選択です。
そうやって住宅にかかる費用を抑えた分、浮いたお金を趣味や旅行、日々の美味しいものに回す。 そんな「生活のゆとり」を楽しむ生き方も、もちろん大いにアリなんじゃないかなと思います。
つまりは、「ご自身がどんな人生を送りたいか」。 それに合わせてベストな選択をされるのが、一番いい家づくりなのではないでしょうか。
